風がやみ
瞬のうちにしか怖気ないのか
夥しい青春が弾け散り
海原に徴かな光彩を放つ
誰もが揺れている漂流の詩
誰もが乗船する人生という船旅
男の航海をやめるわけにはいない
海の瞳に棲むのは
一人ぽっちの海賊の奔流が
男は海との愛がなければ
生きてゆけないのもさ
血筋を物語るのか
アドミラルのつ囁き
光の澱のなかで
白いマストと
筋くれだった青春と
また甦る海
海賊の詩が翔ぶ

山岡 来次郎